「ベティ・ブルー インテグラル<ノーカット完全版」

作品データ

映画「ベティ・ブルー/インテグラル〈ノーカット完全版〉」

  • 原題:37°2 le matin
  • 製作年:1986年
  • 製作国:フランス
  • 上映時間:185分
  • 監督:ジャン=ジャック・ベネックス
  • 脚本:ジャン=ジャック・ベネックス、フィリップ・ディジャン
  • 原作:フィリップ・ディジャン
  • 撮影:ジャン=フランソワ・ロバン
  • 音楽:ガブリエル・ヤレド
  • 出演:ベアトリス・ダル、ジャン=ユーグ・アングラード、ジェラール・ダルモン、コンスエロ・デ・アビランド、クレマンティーヌ・セラリエ ほか

R15+

あらすじ

南フランスの海辺で、自由気ままに暮らす青年ゾルグは、ある日、激しく奔放な女性ベティと出会う。互いに強く惹かれ合った二人は、周囲の世界から少しずつ距離を置きながら、二人だけの濃密な時間を過ごしていく。

ベティは、激しい情熱と豊かな感性を持つ一方で、次第に心の揺らぎを見せ始める。ゾルグはそんな彼女を愛し、寄り添いながら、二人の人生を守ろうとする。

愛すること、生きること、自由であること――。美しい海や鮮やかな風景の中で繰り広げられる、激しくも切ない二人の愛の物語。

未鑑賞の方へ

この記事には、作品についての感想や、物語の展開・結末に触れています。

「まだ観てないけど、内容は知りたくない!」という方は、

ぜひ先に映画を楽しんでくださいね。

ここから本編

フランス映画を代表する、言わずと知れた名作。映画好きは、ハマってもハマらなくても手をつけたはず。そして迷い込んで鑑賞した方々にも、良くも悪くも爪痕を残した作品に違いない。

自身はリアルタイムではなく、20代の頃鑑賞。爪痕を残されたクチだ(笑)そしてウン十年の時を経て再び鑑賞。

冒頭の衝撃の?SEXシーン……えっと、えっと、そうか、そうだったかも知れない、、、なんて思いながら。「おい、おい?まてよ?昔見たのはモザイクだらけだったよな?」と再認識(笑)

悲しいかな、当時はゾルグ(ジャン=ユーグ・アングラード)みたいな人と出逢いたいもんだ、くらいに思っていた。

そして今現在。私は声を大にして叫ぼうではないか、恥ずかしげもなく。『抱かれたい!!』いや『抱きたい!!』だって、なんだかんだで男性も女性も、この「無条件で純粋な愛」を案外求めているものだから…ね

しかし再鑑賞により、感じ方がかなり変わったんだよね….。かなり独自の考察と、ネタバレ炸裂しているので注意して楽しんでいただけたらと思います!

  • 邦題のキャッチコピーは「愛と激情の日々」
  • 本国フランスでは「37°2 le matin」(朝、37度2分)

だから鑑賞する際の視点に、エロ先入観が入ってしまうのではないか、と。浅瀬だけ観ていると、激情や狂気、のような印象が全面に出てしまうようだ。

冒頭のSEXシーンからベティが転がり込んでくるまでのゾルグの独り語りに伏線を見つけた。そして時々劇中とラストに出てくる、美しい白い猫。時には寄り添い見守っているようにも、時には俯瞰して眺めているようにも….

ただ、この白猫を飼っている描写はラストまでが無いことから….!「ジャン=ジャック・ベネックス監督!天才かよ!」と泣けてきました(笑)実にエッモーショナル〜!!あくまでも私の個人的なトンデモ考察ですが、、、いきますよぉ〜!

冒頭からのゾルグの独り語りからすべて、白猫(擬人化=ベティ)に当て込んでみて欲しい。

具合の悪い、横たわるベティの側にも白猫が影武者のようにゾルグを見つめる。ラストシーンでもゾルグが執筆しているテーブルの上で『首輪を付けた白猫』がいるではないか

そしてラストは

「書いてたの?」とベティの声で(白猫)

「考えてたんだ」とゾルグ

まいったね、ベネックス監督には!こんな映画「見たことねぇぞ!」となりました。

一週間、適当に可愛がって遊んでいた美しい野良猫(ベティ)。ある日の日中、突然家に現れ転がり込んでくる。「逢えて嬉しい?」なんて少々高慢に、そしてありえないほどにチャーミングに!

「別に」とそっけなく答えるゾルグだが、黙って荷物を家の中に入れる……。

昔の野良猫との出逢いというのは、そうゆう感じではなかっただろうか?そして、犬や猫を飼っている方ならよくお分かりだろうが、私たちの多くは、彼らに何か求めるだろうか?「いつまでも、元気で側にいて欲しい。そして幸せだと思って欲しい」….ただそれだけ。

それが劇中のSEX=愛情のかけ方に、見事にリンクします。

優しく、優しく、愛おしく、宝物を扱うように、想う気持ちを表現している。自分本位の欲望をぶつけることは、決して出来ないし、許されないのである。ネコ吸い、イヌ吸いされる方ならこの感覚です(笑)

そして彼らから与えられるのは、彼らを守り抜き、無条件に全てを受け入れるという使命と、日常の潤いや、世界の見え方が明るくなること。湧き上がる情熱や勇気、絶対的な安心感、などなど…..

『お金で手に入らないもの』『目にみえないもの』『形に残らないもの』この幸せが永遠に続いたらいいのに….

これが「ベティ・ブルー」の世界観なのではないか、と思ったんです。すると実にストーリーとの辻褄が合ってしまった。

だから、時には下品と思われる描写も…!猫なら車のボンネットの上で、ハレンチなポーズでぼんやりしている…なんて事はあるあるで、我々はそれをただ「そうか」と思うわけです。アイス食ってるから、引っ張られんのよ(笑)

ゾルグが「大地や、あの小さな家も全部君にあげよう」そして誕生日ケーキを忍ばせて、べティを喜ばせたい気持ちを表現した、実に美しいシーンがある。

ベティの「信じられない、こんな土地を買えるなんて」

「木々の間の夕日も、私のもの?」 「この静けさや丘からのそよ風も?」

ゾルグ「買ったんだ」「君のものだ、何もかも」

絶対的な愛を言語化した瞬間の名シーンだ。ぜひ映像美と共に、堪能していただきたい(笑)

[そして少々謎だった部分]

尊厳を踏みにじるようなかかわられ方、愛され方は絶対に許さない。相手を傷つけたとしても、知ったこっちゃないベティの気性。

フォークなどで相手を傷つける様子や興奮が収まらない様子も、いわゆる猫パンチで、それを鎮めるには人を遠ざけ、飼い主が気を落ち着かせ寄り添うのだ。

部屋を取っ散らかしたり、破壊したり、(他人の臭いの染み付いた)ベッドでは寝たくないと、飛び出したりします。それを飼い主はただただ見ている他なかったり、改善に務めるのだ。

[そして謎が謎を呼ぶ部分]

病気が先か?薬が先か?妊娠陰性による落胆からの、異常性の発現。のように見えていたが……

様々な解釈があるようだが、監督自身も明言されていないことから、それぞれの解釈に委ねられたのだろう。そして私は。はい、猫に当てはめます。

犬や猫はある条件が揃った時、偽妊娠(想像妊娠)と呼ばれる状態が発現することもある、ようだ。確かに「避妊リング付けてるのに?」とゾルグは言ってます。

そこでフランスのキャッチコピー「朝、37.2度」。女性が妊娠した時に見られる微熱の数値。生命の誕生への希望を意味する。

この、平常時との絶妙な数値の境目が、物語全体を包む『愛の熱量』であり、「正気と狂気」の境界線として表現されたのではないだろうか?

そして彼らは、時におかしな物、危険なものを口に入れてしまいます。飼い主は日常でもそれらを排除し、危険回避しなければなりません。

ベティが、いつ、どこでそれ(薬)を入手したかのシーンがないのですよ!誰に相談もせず、ただただその不快症状と闘うそれは、まさに動物。それに対して、飼い主は真正面から受け止めなければならない。

なので、劇中の医療体制や、今の現代医療に当てはめてしまうと、ストーリーとの乖離が色々と謎になってしまう訳なのだ。

また、日本にはあまり安楽4のような概念を持たないことと、外国では尊厳4という概念があるようなので、その決断が謎を呼んだのかも知れない….。

そう読み解くとかなり印象が変わりませんか?全ては猫の習性、所業に当てはめると謎が解けたのです。

白猫(ベティ)だけは、いつでもゾルグの小説家への道を、側で見守り、励まし、信じ、時にはプレッシャーを与え、才能を引き出すインスピレーションを授けた。

全てはラストのセリフにキレイに繋がりましたね。ある小説家の『考えていた』ことなのです!

誰しもが一度はよぎる、憧れや、欲望、破天荒願望。すべての求めているものから『愛』へ昇華する感覚。地味に無難に生きてきたゾルグが女神(白猫)から授かったものだったのかも知れない。

そう腑に落ちた時、久しぶりに感動しちゃったな〜!こうゆう再発見はホントに宝物を発見した気分になります。

そんな熱く語った中、申し訳ないが。いちいち「カタツムリちゃん」を確認せずにはいられなかった煩悩まみれの私を許して欲しい(笑)

素っ裸の体当たりの素晴らしい演技(演技に見えん!!)をされた

大、大大好きな俳優、ジャン=ユーグ・アングラード(ゾルグ)

どんだけの花盛りの20歳、ベアトリス・ダル(ベティ)

美しくしなやかな肢体と、愛らしい瞳は、猫そのもの!ハダカにエプロンは、こちらが発祥なんですかね?

そしてフランス郊外の、あのノスタルジックな映像美!

更に何と言っても!音楽ですよねー!不協音が入ってるのに、それがゾルグとベティのコントラストのように調和しちゃってるんだから!

そうなんです!ここにも!飼い主がピアノを弾いていると、猫が鍵盤に乗って音が鳴ったような!

お通夜の日のシーン。ゾルグがグランドピアノを弾いている向かい側でベティが鍵盤を「たたく」。お互い見つめ合いながら繋がっている、なんともしっとりとしたシーンだ。

「君もピアノが弾けたんだね」「叩いただけよ」……これ、普通に猫との会話ですよね。あなたにも身に覚えはありませんか?

そして賑やかしキャラクターたちも、ストーリーを煮詰まらせず良きアクセントに!

「ベティ・ブルー」の世界観は、実は遠くに探しに行かなくても、近すぎて気が付きにくいのかもしれない。

憧れたり、うらやまなくても、すでに私たちは授かっている日常の中にある、ような。だから気がついた者が勝ち!

『愛にひれ伏したことのある民』『無条件の愛を受けた民』『まだ自覚していないだけの民』たちに捧げる最高の作品です!

そう考察すると、誰にでもぜひ観ていただきたいtottyイチオシ作品なのですが。一応R15+とはいえ、刺激強めよね。絶対、間違っても親と観たくないやつ(笑)こういう作品こそ、ひとりで楽しみたい。

今夜はホーロー鍋を抱えて、「チリコンカン」でもいただきながらしっぽりと、愛について『考えて』みましょうか♪さすがに、ハダカでエプロンって訳にはいかないけどね(笑)

では、またね!

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